カール・テオドア・ドライヤー監督による1964年作『ゲアトルーズ』について。 愛への信仰 愛が全て、裏返せば愛以外がない、信仰もないし生きてもいないという女の人が主人公となる。 恋愛と思考が両立し、恋愛の中で愛と官能が共存する。そしてその恋愛が永遠に維持されていて(「合わさった唇がそれのみで赤い点となる」)、思考は真理に紐づいていてそれを表現していけばいいという調和した状態が、愛の理想の状態として、元彼の作家論を通して示される。それが派手な行進の後に読み上げられることで、権威的であり理想論的なもののように感じられる。 それに対して、主人公は恋愛以外がない、元彼の作家論でいう思考がないため、その…