アラビア語で書かれたイスラーム(イスラム教)の根本聖典。正規の発音により近い表記をするなら「クルアーン」。114章からなる。初代カリフのアブーバクルが編纂を命じた。完成(=内容が統一)されたのは第3代カリフのウスマーンの時代。西暦650年頃と言われている。
キリスト教でいうと「聖書」にあたる存在であるが、福音書のように著者がいるわけではなく、あくまでもアッラー(神)の啓示をそのまままとめたものとされる。
イスラム教の根本的思想から、日常生活での禁止事項、推奨事項などが記されている。コーランの解釈はさまざまで、同じイスラム教徒でも捉え方はそれぞれである。→分派
クルアーンとはアラビア語で「読誦」「読まれるもの」の意。天界にある原本〈天に護持されている書板〉を大天使ガブリエル*1を通して、神がムハンマドに読み聴かせた、とすることが名の由来。ムハマンドが40歳くらいの頃、彼が洞窟で瞑想していると突然神から啓示を受けた(お告げを授かった)。こうしてムハマンドは同じセム的一神教*2のユダヤ教、キリスト教系列の最後の*3預言者*4となった。
もちろんこれは同宗教の信者の考え方であり「ムハンマドは預言者ではない」「ムハンマド以降も預言者は地上に現れた」とする宗教もある。
正則アラビア語(フスハー)で書かれており、翻訳は認められていない。他言語に翻訳した場合は、例えば「日本語解説書」「日本語版解釈集」などという扱いになる。翻訳ではなく「解釈」や「解説」であり、あくまでアラビア語で書かれたものが聖典とされる。
もちろんその定義はあくまで、同宗教の信者の考え方であり、その立場にないものが、それらを「翻訳である」とみなすのを妨げるものではない。