迷える子羊。
汝等いかに思ふか、百匹の羊を有てる人あらんに、若しその一匹 まよはば、九十九匹を山に遺しおき、往きて迷へるものを尋ぬか。 もし之を見出さば、まことに汝らに告ぐ、迷わぬ九十九匹に勝りて 此の一匹を喜ばん。
新約聖書・マタイ傳福音書第18章12節-13節
「どうだ、謎の女は」 「森の女と云ふ題が悪い」 「ぢや、何とすれば好いんだ」 三四郎は何とも答へなかつた。たゝ口の内で、迷羊(ストレイシープ)、迷羊(ストレイシープ)と繰り返した。
夏目漱石「三四郎」
→ストレイ・シープ
夜中に携帯電話が鳴った。夜に呼び出し音が鳴るように設定してあるのは、いくつかの電話番号だけ。家族や高齢の親戚といった、緊急を要する連絡のみを受け付けるようにしている。もちろん夜中に緊急で嬉しい連絡なんて来ないから、夜中の電話は緊張する。 今回は間違い電話だった。相手の操作ミスのようだ。電話に出たときには、ぷつりと切れていた。念の為にLINEで問い合わせたら、「寝ぼけて通話履歴を押してしまった」と朝にお詫びの返信があった。 なるほど安心。とはいえ、熟睡していたところを起こされた自分の脳は完全に覚醒している。結局、うとうとしているうちに、朝を迎えてしまった。 昼間、おそろしく眠くて困ってしまった。…