やむ得ず古荒先生も代理人弁護士を立てた。 次の事情聴取の日の直前に、竹田くんから電話がかかってきた。「不破弁護士から伝言があるんです。殺意を持って僕を突き落としたと供述する事を条件に、刑事告訴を取り下げても良いらしいですよ。」「これが犯罪者にならないラストチャンスです。」 「なぬ?殺意を認めたら告訴取り下げだと!」古荒先生は思った。「彼にしては珍しく好意的な提案ではないか。」(このような考えに至るほど、この時期の古荒先生は精神的に追い詰められていた。) 弁護士に話すと「絶対にダメ!そんな事をすれば、たとえ先方が刑事告訴を取り下げても、逮捕され検察に送致され起訴・有罪は不可避になりますよ!」と猛…