丸い頭に、白と黒。作り物の目が、まっすぐこちらを向いている。イベント会場なら子どもが手を振るような着ぐるみが、人混みを割って近づいてくる。歩調は速くない。それなのに、迷いもない。 その数分前まで、スドウカナメがしていたことは何でもなかった。親友から届いた招待を開き、見慣れないアプリを起動しただけだ。画面から何かが飛び出して首筋に食い込んだ感触はあったが、それが何だったのかを考える時間は与えられない。 着ぐるみの手には、その丸っこい体格に似合わないものが握られている。ここで始まったのは、画面の中の対戦ではない。負けた側の体が、この場に残る種類の勝負だ。 カナメの手元に情報はない。ゲームの目的も、…