あたしは、語る。ただ強いだけじゃない、ただ美しいだけでもない――「時代と戦い、自分と向き合い続けた牝馬」の記録を。 その名は――デアリングタクト。 彼女の走りは、まるで“高貴な刃”。しなやかで、鋭くて、でも柔らかい――そのすべてが、時代の風を斬り裂いた。 ■ 父はエピファネイア、母はデアリングバード 血統からは想像できなかった“革命” 父は菊花賞馬でJC覇者のエピファネイア。母系に派手な実績はなく、良血ではあるが“注目されていたわけではない”。 でも、新馬戦で彼女は語ったんだ。 「この身体には、革命の風が宿っている」と。 2020年、混沌の時代。彼女は、時代を越えて“無敗”の物語を紡ぎ始める。…