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トミー・ジョン手術

(スポーツ)
とみーじょんしゅじゅつ

肘の靱帯断裂に対する手術術式。側副靱帯再建手術。Tommy John Surgery。

概要

損傷した肘の靱帯を切除し、正常な腱を移植することにより患部の修復を図る。
1974年にフランク・ジョーブ博士によって考案され、初めてこの手術を受けたトミー・ジョン投手にちなんでこう呼ばれている。投球の際にひじの側副靭帯に大きな負担がかかる野球の選手が受けることが多い手術である。

術式と予後

損傷した靱帯を切除したうえで、患者の反対側の前腕(長掌筋腱など)や下腿などから正常な腱の一部を摘出し移植する。最初にジョンがこの手術を受けた際は成功率1%未満とされていたが、現在では手術後に完全復活する割合は約90%と言われ、さらには術後に2〜4mph(約3〜6km/h)ほど球速が上がった例も数多い。成功率向上と球速増加の要因としては手術そのものの技術的進歩があったからではなく、肘以外の問題やバランス矯正までも含まれたリハビリテーションの知識と方法の著しい進歩と改善があったからだとされている。
移植した腱が靱帯として患部に定着するまでには時間がかかるため、術後には長期に渡るリハビリを行う必要がある。まず、おおよそ2ヶ月をかけてひじの可動域を元に戻していくトレーニングを行い、日常生活において支障なく腕を動かせるようにした後に、軽めのウェイト・トレーニングを開始。徐々にウェイトの量を増やしていくのと並行して、腕全体を強化するための様々なトレーニングを始め、日常生活や通常の運動ができるまでに回復したと判断された時点で投球を再開することになる。通常、ここまでの回復に約7ヶ月を要するため、実戦復帰には12から15ヶ月が必要となる。また、実戦復帰後も球団によって厳しく球数を制限されるため、完全復帰は翌シーズン以降になる。ただし、これは患者が投手の場合で、野手の場合はより短い期間で復帰できる場合が多い。

普及と批判

2003年のデータによれば直近2年間にメジャーリーグで投げた投手のうちトミー・ジョン手術を受けたのは75人、9人に1人に及ぶ。しかしプロ以外を含めると、近年手術を受けている選手の半数を術後の球速向上を期待した肘を怪我していない大学生や高校生らが占めており、これについて批判的な意見も多い。また、術後のリハビリは高校生では耐えられないとされるほど過酷であるため、高校生の手術成功率は74%にとどまっている。

日本でのトミー・ジョン手術のその後

NPB野球界でこの手術治療を初めて受けたのは、1979年の三井雅晴(ロッテ)とされる。しかしリハビリに失敗し、手術後数年で引退したため全く話題にならなかった。しかし、その数年後同じロッテ所属の村田兆治が、渡米手術をマスコミに公表し、リハビリに成功し全盛期とほぼ変わらない程の完全復活を遂げたことから、同じ肘痛に悩んでいた投手が続々と執刀医のフランク・ジョーブ博士などに手術を依頼するようになるに至ることになる。
このことによりNPB界での投手のヒジにメスを入れることはタブーという迷信をなくなり、このことは結果的にではあるが村田の功績であることには間違いない。
なお、執刀医としてはこの手術の考案者のフランク・ジョーブ博士(24例)やルイス・ヨーカム医師(66例)、ジェームス・アンドリュース医師(110例)が有名であるが(※カッコは2015年3月時点の数字)、スポーツ医学が昨今の日本では比較的進んでいたため、平成に入った頃からは多額の費用をかけて渡米しなくとも、日本でも手術を受ける例が多くなってきており、そのうち8割以上が群馬県館林市の慶友整形外科病院(25例)で行われているが、

東京圏・名古屋圏でも執刀医が存在する*1

*1:※例→中日・吉見一起投手、2013年6月4日、右肘内側側副じん帯の再建手術(トミー・ジョン手術)と右肘関節内のクリーニングを≪名古屋市内の病院で≫受け、無事終了→http://hochi.yomiuri.co.jp/baseball/npb/news/20130604-OHT1T00185.htm

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