1. はじめに:最小二乗法による推定値のバラつきとは? 何かのパラメータを最小二乗法で推定するときは決まって、モデル式に(多くの場合、モデル式に含まれる観測値に)何かの誤差が含まれていると仮定している。もし誤差を認めないなら、つまり誤差項のないモデル式がすべて厳密に成り立つなら、必要最小限の数の式を適当に選んで、連立方程式として解けば済むからだ。 そしてその誤差に特別な仮定を置けば、求めるパラメータの推定値とともに、その推定のバラつきの指標(分散あるいは標準偏差)を得ることができる。一番簡単な例として、n組のy, xのデータから単回帰直線を推定する状況(単回帰分析)では、 y = ax + b…