アンブローズ・ビアスという名に接して、「悪魔の辞典」「アウル・クリーク橋の一事件」といったタイトルを直ちに想起する人士は少なくないだろう。 かく言う私自身、いずれも岩波文庫版の「悪魔の辞典」および、「アウル・クリーク……」を含む「ビアス短編集」を書棚に並べており、これらは既に一度ならず読んでいる。 そこへ新たに「ビアス怪談集」を加えたのは、ある電子書籍配信サービスからちょっとしたクーポンが届き、折角なので何か適当な本を購入してみようかと思っていたところ、さらに講談社の一部書籍が割引となるキャンペーンが打たれ、そこに同書を見出したからである。 いや、正直なことを言えば、この「ビアス怪談集」以外に…