選挙のたびに政治家は自分が当選したならば──ひいては自党が政権を一度(ひとたび)掌握さえすれば──、もうたちどころに未来はバラ色、天使がラッパを吹き鳴らしつつ降臨(おり)て来て、「地上の楽園」創始相成る如き言辞を弄ぶ。 有権者を眩惑(くら)まして、一票でも多くを掻き集めんがため、実現不能な公約をせいぜい華麗にぶち上げるのだ。 刹那、人目を悦ばせ、まばたきしては跡形もない、儚く消えるばかりなり。そうした意味では、花火にどこか似てもいる。 政党政治が齎す弊害、その窮極たるモノとして。尾崎行雄や犬養毅ら「神様」どもの手によって、それこそ百年以前から何度も何度も繰り返して指摘され、警告されて来たという…