今回ご紹介するのは、ビアンカ・ピッツォルノ『ミシンの見る夢』 です。 著者のビアンカ・ピッツォルノはイタリアの児童文学の第1人者で、大人向けの作品は本書で3作目とのことです。 そのせいか、”19世紀末のイタリア”という異世界を描いた作品ながら、その語り口は夢と優しさに包まれ、上質のファンタジーを読むように、すっと物語に引き込まれてしまいました。 階級社会の色濃く残る社会で、貧しいお針子の少女が上流階級の家庭で垣間見た人々の秘密や、滑稽で残酷な真実を通して、一人の少女の成長と”縫う”という創造性がもたらす自由のすばらしさを描ききっています。 それでは、あらすじと感想を書いていきます。 あらすじ …