ヨーゼフ2世に直談判するローマ教皇ピウス6世 亡き母に抑えられていた息子 1780年11月29日。 偉大なる女帝、マリア・テレジアは、63年の生涯を閉じました。 〝女帝〟と呼ばれるものの、神聖ローマ皇帝には女性はなれませんでしたので、彼女は形式的には夫帝フランツ1世の皇后でした。 1765年に夫が崩御し、皇帝には息子ヨーゼフ2世が即位したものの、ハプスブルク家の領土を治める君主としての地位の数々、すなわち「オーストリア大公」、「ハンガリー王」、「ボヘミア王」などの称号は亡くなるまで保持し、息子には譲りませんでした。 皇帝は領邦君主たちから選ばれるものでしたので、この時期のヨーゼフ2世は、領土を…