「メキシコへのまなざし」@埼玉県立近代美術館 この展覧会で最高だったのは、芥川(間所)紗織という作家に出会ったことだった。彼女の作品を見た瞬間、体に電流が走りその場に釘付けになった。そのときの衝撃と幸福に向かって、この文章は書いていきたい。 そのスタート地点として、もうひとつ最高だったのは、芥川紗織の発想の源となったルフィーノ・タマヨとの出会いだった。この展覧会最初の衝撃は彼の作品『夜の踊り子たち』だった。闇夜に青っぽく浮かぶ踊り子たちが腰を振った、その瞬間が画面に定着されている。場の高揚が、鮮烈の赤い手を中心にぐわっと迫ってくる。踊る者もそれを見つめる者も闇夜に紛れて、子どものように無邪気だ…