【あらすじ&ひとりごと】 今回は、寺地はるなさんの小説『カレーの時間』(2022) 互いに世代や価値観の違いを抱えながら、共に暮らすことになった祖父と孫が、少しずつ心を通わせていく姿を描いた物語です。 カルチャーセンターで働く穏やかな性格の青年・佐野桐矢25歳。 ある日、83歳の母方の祖父・小山田義景と同居することになる。義景は、昭和の価値観を色濃く持ち、頑固で娘・孫たちからも疎まれた存在。 しかし、そんな中にも桐矢と義景のカレーを一緒に食べる時間だけは、二人の間に穏やかな空気が流れる。 物語は、現在の桐矢と義景の同居生活と、義景の若き日々の回想を交互に進行していく。そこには、戦後の混乱期に孤…