宮沢さんの自然に内在している悪魔との闘いは、自分自身の心身に忍び寄ってくる悪魔との闘いでもありました。そして、その闘いは、非常に困難な闘いであると、宮沢さん自身十分に理解していたようです。とくに、宮沢さんは、心の中に自然に浸透してくる「名利」欲がその悪魔の侵入を招く要因であると捉えていましたた。「雨ニモマケズ手帳」の5・6頁に、そのことが、次のように記されています。すなわち、 「病血熱すと雖も 斯くの如きの悪念を 仮にも再びなす こと勿れ 斯くの如きの瞋恚先づ 身を敗り人を壊り 順次に増長し て遂に絶するなからん それ瞋恚の来る処 多くは 名利の故なり 血浄く胸熱」とです。 そして、この頁につ…