「七難八苦」の全体像 「七難八苦(しちなんはっく)」とは、人間がこの世で遭遇する「ありとあらゆる災難や苦しみ」を意味する仏教由来の言葉です。この言葉は、外的な災難を指す「七難」と、内面的な苦しみを指す「八苦」という、二つの異なる概念が組み合わさって成立しています。それぞれの由来を詳しく見ていきましょう。 1. 外的な災難「七難」の由来と経典 「七難」は、天変地異や社会的な動乱など、主に自身の外からやってくる災いを指します。これは一つの経典に限定されたものではなく、複数の経典で説かれており、その内容は少しずつ異なります。代表的な3つの経典を見てみましょう。 ① 『薬師経(やくしきょう)』に説かれ…