青森県北津軽郡板柳町五幾形字飯田の五幾形稲荷神社(訪問日:2024年9月2日)稲荷神社境内の一画に墓塔と民間信仰塔が一緒くたにまとめられている空間があります。手前には近年奉納の朱色の鳥居が建立され、これらが信仰の対象として地元の人に認識されていることが窺えます。 この中でも特に注目したいのが碑面に三尸それぞれの名前を残す自然石型庚申塔です。津軽地方は現存する庚申塔の紀年の関係から、中央と比べておよそ半世紀強遅れて庚申信仰が伝播したと考えられています。そのせいもあって、東北以南の地域に点在する江戸時代初期の庚申塔にまま見られる三尸銘を有するものがほとんどありません。 しかしながら、本塔には『大清…