美しき果実:十和田操 1947年(昭22)3月~1948年(昭23)5月、雑誌「令女界」連載。 1948年(昭23)、真光社刊。 美しき果実:十和田操、三芳悌吉・画1 終戦直後、大陸からの引揚者たちの群れの中に幼い男の子を連れた若い娘がいた。彼女の名前は美雨(ミグレ)といい、引揚げの途上で父母ともに病死してしまい、孤独の身となった。同じ身の上の孤児の男の子の面倒を見る決心をして、列車に乗り、父親の郷里である岐阜の村落を生れて初めて訪ねることになる。やっと到着した村には親戚は全く見つからず、父親も孤児としてその村にある養育園で育ったことがわかる。美雨と男の子はその養育園で暮らすことになる。物語の…