広島悲歌:細田民樹 1949年(昭24)世界社刊。 1949年(昭24)10月、雑誌「富士」掲載:『美しき大地』(中間部) 1949年(昭24)11月、雑誌「富士」掲載:『山河の歌声』(終末部) 被爆直後の広島とそこに暮らす人々の惨状に直接触れながら、その核兵器使用の衝撃と平和への思いを強く訴えた小説。単なる体験記の形態でなく、三人称の小説とすることで、それらの人々の体裁の裏側までもが客観化され、極限状態に追い込まれた人間の姿が全身像として見えるような印象になる。作中でも、瀕死の状態に陥った女学生を担架で運ぶ途中に、突然その娘が大声で軍歌を歌い始め、歌い終わると同時に息を引き取ったというくだり…