-----講義録始め------ この「いつかグリーフに居場所を与えて、グリーフと折り合いをつけていく」という考え方は、「早くグリーフを乗り越え克服する」という考え方と大きく異なります。もし、グリーフを抱える喪失体験者の実感が前者の考え方と重なるのであれば、後者の考え方に基づいて、例えば「1日も早く喪失の悲しみから立ち直らなければ」「悲しんでいても愛する人は帰ってこないのだから、元気を出して新たな人生を歩まなければ」といったことを言うのは、たとえそれが相手を励まし支えるつもりであっても、喪失体験者にさらなる苦難をもたらしてしまうことを私たちは認識するべきでしょう。当事者が自分の不甲斐なさや弱さ…