五木の子守歌の後半の歌詞は、野垂れ死にの歌だ。それは私の望む死に方でもある。------------ おどんが うっちんねえば 道ばちゃ いけろ通る人ごち 花あぎゅい (私が死んだら 道端に埋めろ) (通る人ごとに 花を供えるだろう) 親父はこの歌が好きだった。村の夏祭りでは、「正調五木の子守歌」と前置きして、あまり聴かないメロディーで歌ってた。そんな父を私は在宅で看取らずに、病室で死なせたことを悔いている。それは、子守歌同様の野垂れ死にと言えなくも無い。 闘病末期、父の細った腕にも足にも、もはや点滴の針はなかなか入らなかった。医者に「どうしますか?」と尋ねられた。「帰って、家族に相談します」…