【相米慎二監督の想い出 (2)】 田中陽造氏は、自身が参画していない相米作品もご覧になっている。 田中「田畑智子が子役のときに出た『お引越し』(1993)のとき、相米が「見てくれましたか!?」って元気に来て、ああ見たよって言ったら「ちゃんとカット割りしてあるでしょ。できるんですよ、おれだって!」って(笑)。 「おれって猿みたい」って言うから、ああ柱登れって言ったら、禿げてるのに柱を登り始めた。ぼくと会ってるときだけはひょうきんでしたね。
【『セーラー服と機関銃』(2)】 組員のひとり(上田敏也)に「おふくろのにおいがする」と言われた主人公(薬師丸ひろ子)は、彼を抱きしめる。 田中「星泉は意識しないけど女であり、持っていた母性がばっと出ちゃう。
女子高生(薬師丸ひろ子)が弱小暴力団の組長になって活躍する映画『セーラー服と機関銃』(1981)は、この年の配給収入1位の大ヒット作。普通の娯楽映画かと思って何気なく見ると面食らうような趣向(長回し、渡瀬恒彦と風祭ゆきの濡れ場、ライティング、大胆な省略、生と死の考察…)が『セーラー服』にはあふれていて、批評家の樋口尚文氏はヒット作にして「アートフィルム」と評する(『シネアスト 相米慎二』〈キネマ旬報社〉)。