歌人・作家・翻訳家。哲学者の黒崎政男は夫。 東京大学理学部生物学科をへて、同大学院比較文学比較文化修士課程修了。白百合女子大学文学部教授。専門は英米ファンタジー。 『ファンタジーの魔法空間』(岩波書店)により第27回日本児童文学学会賞、『歌う石』(O・R・メリング、訳書、講談社)により第43回サンケイ児童文学賞受賞。 裏千家茶道準教授、藤間流名取でもある。
「一首鑑賞」の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 298.眼路のかぎりみはるかす冬黄昏の地平どこまでわれらが地球(テラ) (井辻朱美) 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで黒瀬珂瀾が紹介していました。 sunagoya.com これ読んで、とっさに どこまでが空かと思い結局は地上スレスレまで空である (奥村晃作) を思い出しました。どこまで地球なんでしょうね。大気圏まで?それとも地上まで? 今、疑いようもなく地球は球体だと信じていますが、かつて平面だと思われていた頃の人間の気持ちになりました。地平はどこまでも続いているように見え、先が見えない。自分が住んでいるのはどのよう…
『短歌パラダイス』感想の注意書きおよび歌合一日目、二日目のルールはこちらです。 yuifall.hatenablog.com 11番目の題は「あざらし」です。また動物かぁ。 北限のあざらしを狩れ連弾のわれらに開くピアノの翼 (一郎次郎) 世界経済わづかに傾ぐ午後を離れ手帖をあざらしに見せてゐる (七福猫) 鉄線が咲き洗濯機まわる道横抱きにしてアザラシ買い来ぬ (ぐるぐる) 北限のあざらしを狩れ連弾のわれらに開くピアノの翼 (一郎次郎) 「一郎次郎」の歌は、(実在のものかどうかは分かりませんが)あざらし狩りをテーマにした曲を2人で弾いているのかなぁと思いました。「ピアノの翼」はグランドピアノの蓋…
『短歌パラダイス』感想の注意書きおよび歌合一日目、二日目のルールはこちらです。 yuifall.hatenablog.com 前回までの10回で1日目が終わり、次からは2日目になります。2日目はまたルールが変わっています。幕間ではその理由や歌合にかける熱い思い、以前行った歌合で提出された歌とそのコメントなどが語られていますが、「注意書き」に書いたように歌合に提出されたもの以外の歌の引用は差し控えます。2日目ルールおよびチーム分けも「注意書き」に書いているのでご参照ください。 1試合目の題は「ふらここ」。ブランコのことで、ブランコ、鞦韆、ゆさはり、ふらんど、半仙戯など、どの呼び方を使ってもいいよ…
『短歌パラダイス』感想の注意書きおよび歌合一日目、二日目のルールはこちらです。 yuifall.hatenablog.com 1日目の対戦はあらかじめ題と対戦相手が伝えられており、当日までに歌を準備してくるという方式で行われています。最初の題は「海」。 奪うため破壊するため(力あれ)海道をゆく倭寇のように (田中槐) 連綿と海老の種族を生みだしてわが惑星(プラネット)のくすくす笑ひ (井辻朱美) *(プラネット)はルビ これをどう読むか。作者はコメントしないのがルールで、つまり「正解」はないので、基本的には自チームを応援するということになります。自分だったらどうかなって考えました。 まず田中槐…
書肆侃侃房 出版 東直子・佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。 yuifall.hatenablog.com 井辻朱美 想うとは水ににじんでふるえる声紋 けばだちながら積まれゆく雲 全体的に宇宙とか、遥かなる存在のようなものを感じさせる歌が多いなーと思いながら読みました。 水球にただよう小エビも水草もわたくしにいたるみちすじであった なんかも、球状の水槽の中の水草とか小エビとかを見ながら、そこからはるばる自分に連なってくる生命とか時間を思い起こさせる感じです。しかし、一つどうしても分からないものがあるのですが、 死にいたるまでの愛とふ言葉もて北半球に生れたる甲冑 …