はじめに――本章についての簡単な註記 1 「我が子」を喪うということ 2 映画「ドライブ・マイ・カー」について 【参考文献】 【註】 はじめに――本章についての簡単な註記 「偶然の家族」とは、かつてドストエフスキーが『未成年』 [ドストエフスキー, 『未成年』, 1876年]、あるいは『作家の日記』 [ドストエフスキー, 『作家の日記』, 1873年-1876年]において論じたことで知られる。 後年、日本の思想家である東浩紀が「家族の哲学(序論)」において言及した。東は家族の概念についてひとつめに「強制性」を挙げた上で( [東, 2017年]p.215)、更にこう述べている。 ふたつめに注目し…