公訴時効とは、犯罪後一定の期間が経過すると、公訴の提起を認めない制度。
その根拠は、実体的な刑罰権が消滅することによるとする説(実体法説)、証拠の散逸など主として訴訟手続上の考慮に基づくとする説(訴訟法説)、その双方の競合を認める説など見解が分かれる。
時効期間は、日本では刑事訴訟法で当該犯罪の法定刑を基準に1年から30年まで10段階に分けて法定されている(250条)。ただし、人を死亡させ法定刑に死刑を含む罪については、2010年4月施行の改正刑事訴訟法により対象から除外されている。
時効は「犯罪行為が終わった時」から進行するが(253条)、この場合の「犯罪行為」は結果をも含む。公訴の提起があったときは、そのときからその公訴にかかわる管轄違いまたは公訴棄却の裁判が確定するまでの間(254条)、そして犯人が国外にいる場合または犯人が逃げ隠れしているため有効に起訴状の謄本の送達などができなかった場合にも、その期間時効は進行を停止する(255条)。時効完成後の公訴提起は、訴訟条件を欠き、免訴の裁判で手続きが打ち切られる(337条4号)。