-----講義録始め------ さて、対人認知という言葉に含まれる「認知」とは、人間の高次の心の働きを示す言葉です。日常では馴染みが薄い言葉と思われることから、今回の授業では「他者を認識する過程」というタイトルをつけています。 私たち人間は、心の働きによって身の回りにある様々な対象を日々認識しています。その認識の対象は人と物に分けることができますが、人間の認知である対人認知とものの認知では、少なくとも次の2つの点で大きな違いがあります。 第一に、ものの認知の場合、大きさ、形、色といった物理的・表面的な特徴を把握することに認知の重点があります。しかし、対人認知の場合、感情や意図、パーソナリティ…