<北海道開拓秘史>の副題をもつ『赤蝦夷風説考』(教育社、1979年)を読んだ。 この本は、天明年間に書かれた蝦夷地(北海道)探検関連の三つの冊子『赤蝦夷風説考』(工藤平助)、『蝦夷拾遺』(佐藤玄六郎)、『蝦夷地一件』(編纂者不明)をまとめ、井上隆明氏が現代語に翻訳し解説をつけたもの。日本最初の北海道探検がどのように行われたかを記した根本史料集だ。 日本最初の北海道探検の経緯をまとめた資料集『赤蝦夷風説考』 まずこの3書が記された当時の蝦夷地の情勢を簡単に記すと、18世紀のはじめにオホーツク海沿岸とカムチャツカ(赤蝦夷)に領土を広げたロシアは、さらなる南下政策をすすめ、樺太、千島列島の2方面から…