照井壮助氏の『天明蝦夷探検始末記 田沼意次と悲運の探検家たち』(影書房、2001年)を読んだ。これは内容が充実しているというだけでなく、一人の人間が人生を賭して書いた感動的な著作だ。 著者・照井壮助が人生を賭して書いた『天明蝦夷探検始末記』 まずは内容紹介。 天明五年(1785年)、老中・田沼意次の肝いりで徳川幕府としては初めての(そしてもちろん日本初の)公的な探検隊が蝦夷地に派遣された。目的は、北方の未知の大国であり蝦夷地に関心をもつとされるオロシャの蝦夷地接触の実情把握、松前藩がからんだ抜荷の実態把握、蝦夷地の金山探索、なかば未知の土地である蝦夷地の地理的探検など。責任者(普請役)として、…