怪盗五人女:邦枝完二 1955年(昭30)12月~1956年(昭31)7月、「東京タイムス」連載。 1956年(昭31)同光社刊、新作・大衆文学全集所収。 邦枝完二の最後の長編小説。新聞連載は1956年7月18日で終了したが、その翌月8月2日に死去した。63歳だった。 江戸中期の十代将軍家治の時代、老中田沼意次の権勢が頂点を極め、いわゆる賄賂政治がはびこっていた。表向きは口入屋稼業の三日月お才を始めとする五人の女が私腹を肥やす武家や商人から財貨を掠め取り、貧民たちに分け与える活動をする。五人とも若い娘たちで、器量良し、とても盗賊たちとは思えない形振りだが、性格や容姿の対比もなく、個々の動きも印…