🌷源氏は紫の君の髪そぎをする【源氏物語138 第九帖 葵 11】 きれいに装った童女たちを点見したが、 少女らしくかわいくそろえて切られた髪の裾が 紋織の派手な袴《はかま》にかかっているあたりが ことに目を惹いた。 「女王さんの髪は私が切ってあげよう」 と言った源氏も、 「あまりたくさんで困るね。 大人になったら しまいにはどんなになろうと髪は思っているのだろう。」 と困っていた。 「長い髪の人といっても前の髪は少し短いものなのだけれど、 あまりそろい過ぎているのはかえって悪いかもしれない」 こんなことも言いながら源氏の仕事は終わりになった。 「千尋《ちひろ》」 と、これは髪そぎの祝い言葉であ…