銅町の鋳物師、長谷川甚吉(六代目長兵衛)が大正十年十月に納品した半鐘が、孫である自分の手元に昔の姿で戻るまでのこと。 その半鐘は大正十年十月に、長崎町(現中山町長崎)消防組第二部組頭秋葉三弥が新調したものである。「山形市銅町 鋳造人長谷川甚吉」と刻銘してある。 この年甚吉は満34歳、妻左た36歳。長男長蔵14歳、筆者の母フサエは満1歳。長谷川家(〇井、福井工場)当主は五代長兵衛(小野田平治郎)62歳。同年、小野田才助の作った金華山常夜灯の修繕を行なっている。全盛期と言ってよいだろう。長女を幼くして亡くした甚吉は二人目の娘を可愛がり大事にした。乳母日傘という扱いだったそうだ。 令和六(2024)…