「此蓄生」たった三文字の賛が付されてある。 この季節の拙宅内はつねに寒く、私はたいてい鼻風邪を引いている。熱は出ない。躰が怠いということも、節ぶしが痛むということもない。ただのべつ幕なしに鼻水が出続ける。凄い量で、毎分ごとに鼻をかまねばならない。なにをするにも面倒だから、いきおいティッシュペイパーを小さく丸めて、鼻栓をして過すようになる。ポケットにタオルは必須となる。近所への買物くらいであれば、鼻栓の上からマスクをかけて出かけてしまう。 アッ来るな、という予兆は感知できる。やっぱり来たか、という自覚症状も明瞭だ。峠を越えるとやたらにクシャミが出て、症状が薄らいでゆく。その間五日ていどで、丸一週…