バタイユはこの本の発刊当時、既存の経済学が経済を論じる際に、特定の地域や共同体について論じるのみで、経済の全般に論じていない点について、不満に思っており、経済全般を論じるにあたって、蕩尽という概念が有効だと述べたようだ。 そして、バタイユは独自の視点から様々な蕩尽を事例として挙げています。アステカ文明における、人柱テスカトリポカ、ピラミッドや豪奢な教会建築、近代における戦争、ポトラッチ、とりわけその際の贈答品の破壊、ダライ・ラマが統治を行うチベットの政治機構(僧侶の研究や瞑想・宗教行事のための寺院に多大な寄付を僧侶以外が行っており、その点を蕩尽と考えているようです。僧侶の生き方そのものも、労働…