🌊【源氏物語293 第12帖 須磨27】王命婦は、その恋愛がなかったならお二人に苦しみがなかったかもしれない。自身に責任があるように思われ苦しかった。 〜命婦は源氏の今日の出立を申し上げて、 この手紙を東宮にお目にかけると、 御幼年ではあるがまじめになって読んでおいでになった。 「お返事はどう書きましたらよろしゅうございましょう」 「しばらく逢わないでも私は恋しいのであるから、 遠くへ行ってしまったら、どんなに苦しくなるだろうと思うとお書き」 と宮は仰せられる。 なんという御幼稚さだろうと思って 命婦はいたましく宮をながめていた。 苦しい恋に夢中になっていた昔の源氏、 そのある日の場合、ある夜…