ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』をざっと読みました。 伝説やユダヤ教・キリスト教・イスラム教、イデオロギー(社会主義、人間至上主義)、貨幣信用などを「嘘話(虚構)」と批判し、「嘘話」で形成された集団によって人類が進歩したと勇気ある分析を行い、嘘話を信じる人たちに大きな影響を与えた点は高く評価したいと思います。 しかし、その「嘘話」論は吉本隆明氏の「共同幻想論」(たんに言葉でしか知りませんが)として1970年頃にはそれなりに知られており、とりわけ目新しいものではありませんでした。本来なら吉本氏の影響を受けた人たちが深め、世界最高水準の縄文社会・文化研究や文化人類学などをもとにハラリ氏…