よしもと・たかあき(1924〜2012) 詩人、文芸評論家、思想家。1924年(大正13年)11月、東京・月島生まれ。東京工業大学電気化学科卒業。主著に『転位のための十篇』『固有時との対話』『共同幻想論』『マス・イメージ論』ほか。 名前の『隆明』は本来は「たかあき」であるが多く「りゅうめい」と呼ばれる。小説家・よしもとばなな(吉本ばなな)は次女。 数年前、伊豆で海水浴をして溺れかけた。 2012年3月16日、肺炎のため死去。
吉本隆明さん著「ひきこもれ」からの言葉。 ひきこもれ ※※※ 引きこもることで、他人との接触を減らす。自分ひとりの時間を持つ。そうすることで、自分だけのものを育て上げることができる。 そうやって何かを育てるためには、まとまった時間が必要。そして、まとまった時間を取ることができるのは、人生の中でも限られている。 でも、現代においてまとまった時間を取ることって難しいですよね。 「すきま時間」だとか「効率的な時間の使い方」だとかが言われる世の中。目まぐるしく情報が流れてきて自分たちの時間を奪う。 思ったのは、これ、引きこもるじゃなくて、外に出たほうが良くない? 家の中にいた方がパソコンとかスマホを使…
吉本隆明『共同幻想論』を読もう。この前、そんな話を書きました。家で前に買った本を見つけた。前よりは頭に入ってくるけど、やはりピンと来ない。そこで宮台真司さんが荒野塾の相棒の阪田晃一さんを聞き手に、解説されてる動画を見ました。ヤバいです。なぜ私たちが生きる力を失ったかが語られています。 久しぶりに文字化します。怪しいところは、動画を見てください。ちなみに、文字化した部分は導入部で、そこから有料で映画批評の話をされています。概要欄から課金して観れます。私は別のとこで課金したのですが、例の如く wifi 状況が悪く、くるくる回って観れてません。どこかで観ます。 宮台:(バタイユは失恋を契機にして、真…
・ついに退職の意志を会社に伝えた。明らかに私でもわかるぐらいの人手不足だったので、まあやっぱりやんわりと止められたのだが、最後は「都会が嫌なんです!」などと言うなど粘り勝ちだったような気がする。人事兼直属の上司(人が少ない会社なのだ)は認めてくれたものの、私もちゃんと教えて無かったのが悪かったんだけどね、と前置きした上で「つらくなる前に相談してほしかった」と言われて、謝るしかできなかった。次の就職先(いつになるかわからないが)ではせめてそれができるようになろうと思う。 ・『100分de名著 吉本隆明「共同幻想論」』を読んでいる。名著を優しく解説してくれる本のはずなのになかなか難しい。でもなんか…
『隆明だもの』、ハルノ宵子、2023年12月、(株)晶大社。・「父の本を読んでいると、・・・・・とにかく不親切なのだ。発達障害の理系のように、説明をすっ飛ばす。他日も当然周知のこととして話を進める。」・「だいたいが父は、実生活においても”形容詞”というものをほとんどつかわなかった。」・「反原発はダメだ」。「火は使うほうに責任があって、火自体には責任はないわけですよね。技術を高めるしかないし。」・「イヤ~ヒドイ娘ですね。吉本主義者の方々の、幻想粉砕してしまいましたね。」
文芸批評がたしかに新たな局面に入った、という気がしたものだ。 『殉教の美学』が出現したとき、文学も芸術思想も左翼・右翼というような表面的仕分けで片づくはずのものではないと考えた、鋭敏な学生は少なくなかったろう。たとえば安部公房は左翼的、三島由紀夫は右翼的というようなレッテル貼りをもってしては、なにを理解したことにもならぬと、学生も理解し始めたのだ。学生を盲目的にさせる魅惑的指標が「革命」から「情念」へと移行する時代が、すぐそこまで来ていた。 同世代の文芸批評家としては、飛びぬけて若くして登場していた江藤淳の、後続がようやく出てきたのだと、私は受取った。果せるかな相前後して、桶谷秀昭・秋山駿ほか…
「引きこもれ!」 これは「まとまった時間を確保しろ!」の意味 何かを極める その上でまとまった時間に身を投じることは不可欠 細切れの時間は効率はいいかもしれない ただ、我を忘れるくらいのまとまった時間も、それと同じかそれ以上に大切かもしれない ※※※ 吉本隆明さん著「ひきこもれ ひとりの時間をもつということ」からの言葉 若者たちよ、ひきこもれ ひきこもれ~ひとりの時間をもつということ (だいわ文庫) 作者:吉本隆明 大和書房 Amazon この「引きこもれ」は、 まとまった時間を確保しろ!ということ それも1人がいいのかもしれない 細切れの時間ではなく、まとまった時間の中に身を投じる そうする…
吉本隆明さんが現代詩、短歌や俳句を読解する、ちょっとした入門書やガイドになっている。吉本さんの読者ではないが、一番取っつきやすい本の一つではないだろうか。古本屋で見つけて思わず購入した。かけそばだって400円くらいする時代になってきた中で、これを250円で読めたのはうれしい。その評論が、詩だけではなく、なんと宇多田ヒカル、中島みゆき、松任谷由実といったアーティストのの歌詞にも及んでいる。吉本隆明と宇多田ヒカル。一見食べ合わせが悪そうだが、吉本さんは宇多田さんが15歳の時に発表した「Automatic」の歌詞をすごく評価していた。 詩の力 (新潮文庫) 作者:隆明, 吉本 新潮社 Amazon …
現在71歳で死ぬまでには多分20年近くある気がする。母親が94歳で健在なのでその年齢近くまでは生きられそうな気がしている。血圧が少し高いくらいで幸いにも健康を維持できている。地方都市で戸建ての自宅に住み、年金で生涯暮らせそうなので生活の心配も余りしていない。母親の介護が控えているから全く悠々自適でもないが、不自由に感じてはいない。ただ毎日は単調でほとんど同じ繰り返しを強いられてはいる。母は要介護1で、最近は毎日失禁するようになった。紙パンツをしていても尿漏れするので毎日洗濯している。この前は椅子に敷いてある座布団を洗った。それくらいは仕方がないと思っている。物忘れはひどくなっているが、徘徊はし…
※1998年に出版された『人物20世紀』(講談社)についての2回目です。 ◆残念なことに、ほとんど取り上げられていなかった思想家がいます。詩人でもあった吉本隆明(1924~2012)です。年表の1968年のところに、「吉本隆明『共同幻想論』を刊行」と小さな文字で書いてあるだけでした。失礼ながら、編集委員の方々の見識をちょっと疑ってしまいました。現在は、高校の「倫理」の教科書にも、詩人・思想家として載っているほどです。多分、近い将来、吉本隆明の本格的な伝記や研究書も書かれるでしょう。 ◆私はかつての「吉本ファン」の一人に過ぎません。本稿も私的な覚書以上のものではありませんが、詩に吉本の原点をさぐ…
3.賢治の理念と命題は万人に適応できるものかどうかもわからない。 詩「小岩井農場」(パート九)で,賢治は宗教者としての分身の主張を受け入れて「宗教情操→恋愛→性欲という命題は可逆的にもまた正しい」と判断していたが,この命題は物理学的法則のように本当に正しいのか。 詩人で思想家の吉本隆明(2010)は賢治の命題が正しいかどうか論ずる前に,そもそも「宗教情操→恋愛→性欲」への漸移はないと言っている。吉本は自著でこの命題に対して,「宗教から恋愛へ,そして性慾へと連続して流れてゆく情操と願望のうつりかわり(変態)という理念は,宮沢賢治の生涯の理念であるとともに,生涯によってじっさいに演じられたドラマだ…