よしもと・たかあき(1924〜2012) 詩人、文芸評論家、思想家。1924年(大正13年)11月、東京・月島生まれ。東京工業大学電気化学科卒業。主著に『転位のための十篇』『固有時との対話』『共同幻想論』『マス・イメージ論』ほか。 名前の『隆明』は本来は「たかあき」であるが多く「りゅうめい」と呼ばれる。小説家・よしもとばなな(吉本ばなな)は次女。 数年前、伊豆で海水浴をして溺れかけた。 2012年3月16日、肺炎のため死去。
吉本隆明『言語にとって美とはなにか』を読んで感銘を受けたので、解説のようなノートのような何かを書こうと思います。 www.kadokawa.co.jp タイトルの通り、「言語表現において、どういう表現が高い価値を持つのか?」ということがテーマです。 例えば、自分の表現に「なにかが足りていない」と感じるとき、何が足りていないのか。ある作品に感心したとき、その作品のどこが高度なのか。そういう疑問を持つことはよくあると思います。こういう疑問に、自らの素朴な知性で答えることもできるのですが、何らかの思考の標準があれば力強いことこの上なしです。そういうものをこの本は与えてくれます。 序文に曰く わたしは…
吉本隆明『読書の方法:なにを、どう読むか』光文社文庫(2007年)を読む。 読書は一期一会。 普段あまり行かない光文社文庫のコーナーに行くと本書を発見。 日本を代表する思想家の読書論となると、これは読みたいと思った。 読み始めるといきなり、読書は何にも役に立たないと書いておきながらも、仕事上読まざるを得ない日々が続いたことが読み手に伝わってくる。 楽しく読書ができたのは30代までだったと書いている。 読むことを生業にする人間の生々しい想いが伝わってくる。 本は一度文庫化されると廉価で手に入る。故に、交換価値が下がる。しかし、文庫化されるということは、それだけその本に価値があることの証しでもある…
昨夜は十一時過ぎに寝て、夜中の三時前に目が覚め、そのまま目が冴えて眠れなくなった。トイレに立ち、猫が二階から降りて寝室に入ってきて、小一時間iPadを見たりして時が経つのを待ち、浅い二度寝をし、ベッドを出るのがかなり辛かった。 誕生日だが誰も祝ってくれないので、自分で盛り上げようとして、いつもよりちょっと上等なおかきを買い(酒を買うのは控えた)、図書館に行く。幸い天気は良い。花粉のためか喉がいがらっぽい。 「Birthday」で検索して出てきた曲をプレイリストに集めてダウンロードしたのを聴きながら行く。坂の途中にATMがあったので列に並び暫く待って前に立つと画面がフリーズしていて操作できない状…
ユヴァル・ノア・ハラリ氏の『サピエンス全史』をざっと読みました。 伝説やユダヤ教・キリスト教・イスラム教、イデオロギー(社会主義、人間至上主義)、貨幣信用などを「嘘話(虚構)」と批判し、「嘘話」で形成された集団によって人類が進歩したと勇気ある分析を行い、嘘話を信じる人たちに大きな影響を与えた点は高く評価したいと思います。 しかし、その「嘘話」論は吉本隆明氏の「共同幻想論」(たんに言葉でしか知りませんが)として1970年頃にはそれなりに知られており、とりわけ目新しいものではありませんでした。本来なら吉本氏の影響を受けた人たちが深め、世界最高水準の縄文社会・文化研究や文化人類学などをもとにハラリ氏…
完本 情況への発言 | 吉本 隆明 |本 | 通販 | Amazon 購読者による予約金以外の資本に頼らずほぼ独力で自分の書きたいことを書く場所を築き、いかなる組織や党派にも依りかからず、いつも完全に独りで、社会的地位や権威や社会的評価や名声の後押しを受けている論敵たちに〈受動的闘争性〉を剥き出しにした筆致で立ち向かいやり込める痛快さが味わえる。やられた方はたまったものではないだろう。その一方で、糸井重里やら高橋源一郎やら加藤典洋などの「やられなかった」人たちにとってはこれほど心置きなく称賛したり支持したりしなかったりできる頼もしい存在はいなかったのではないか。 ぼくは勢古浩爾や高橋源一郎のよ…
図書館で吉本隆明「完本 情況への発言」、勢古浩爾「最後の吉本隆明」、松崎 之貞「「語る人」吉本隆明の一念」、加藤 典洋、高橋 源一郎「吉本隆明がぼくたちに遺したもの」を借りる。「情況への発言」では、柄谷行人や蓮実重彦、浅田彰らを口汚く罵っているのに驚いた。これは言われたほうは一生忘れないよな、絶対に報復してやろうという気になるよな、と思うが、それを承知でここまでのことが書けるというのが魅力といえばいえなくもない。「反核」やら「反原発」への異論もそうで、とにかく思ったことを言い切るという胆力は今の知識人に最も欠けているものだろう。だからテレビタレントや似非文化人たちに舐められるのだ。 などと思い…
吉本隆明『追悼私記』を読み終える。今までに読んだ吉本隆明の本(詩集除く)で最も抒情的で〈エモい〉文章が収録されている。追悼文でありながら故人への批判になっていたり、社会的には無名に等しい知人の生涯について立ち入った考察をしていたり、「あとがき」で著者自身が書いているように、〈痛切〉をモチーフにした人間論になっていて、こんな風な文章を吉本隆明について書いている人はいないのだろうかと思った。巻末の高橋源一郎の文章はそれに近いが。 外山恒一がこんな文章を書いているのをネットで拾って張り付けてみる。きわめてまっとうな考えの持ち主だと思う。 吉本隆明先生(「先生」と漢字で表記する場合には、本気で尊敬して…
松村雄策が愛した六十年代のロックについて、彼自身がどう考えていたかは分からないが、僕にとってあの頃のロックは、本当に世界を変革するような出来事だった。それは単なる音楽ではなかった。 松村雄策もこう書いている。 「一昔前の少年時代、レコード・ジャケットを見ただけで何か鋭い予感が走り、レコードを聞くと背筋に冷水を浴びせられたような感覚が起こり、その場で自分が変わって行くのが明確に解るというレコードが、確実に何枚かあった。ドアーズのレコードも、そういった中のひとつであった」 僕はリアルタイムでビートルズもドアーズも知らないし、六十年代の雰囲気も知らない。僕がそれらの音楽に出会ったころにはもうロックは…
川端要寿『堕ちよ!さらば―吉本隆明と私』、 橋爪大三郎『永遠の吉本隆明』、 吉本隆明『追悼私記(完全版)』、 同『フランシス子へ』、 同『開店休業』(長女ハルノ宵子との共著) を借りる。 吉本隆明が死んだのは、ちょうど10年前、2012年3月16日だったと知る。 * * * 昨日(3月12日)、松村雄策が亡くなったと公表された。 昨年の秋に、本人の文章で病状について書かれていたので、この日が来ることは覚悟していたが、、、 渋谷陽一のブログによると、亡くなる3時間前まで会っていて、また来るなと言って別れたのだという。1ヶ月前に孫が産まれ喜んでいた。娘さんも孫の顔を見せたいと言っていて、その望みは…
どうして「風景」と言うのだろう。あるいは、景と風景の違いはなんであろう。そういうことを考えたとき、風は私の身体を撫でるではないか、私の髪をそよがせるではないか、ということに思い到る。風に含まれる強い追憶は、視覚よりもっと原初的な触覚から来ているのではないか、と思う。風景は、目によって認識されたものだけではなく、それが身体や心を通り抜けて生まれるのではないか、と思う。風は本当は身体を通らない。風は身体にあたるだけである。だけど、風の只中にいるときに、風が身体や心を通り抜けて向こうに行くような、そんな感覚がする。 風とはまさしく詩語である。空気の動きが、どうしてこんなにゆたかな詩情をもたらすかにつ…
一条真也です。『定年後に見たい映画130本』勢古浩爾著(平凡社新書)を読みました。著者は、1947年大分県生まれ。明治大学政治経済学部卒業。洋書輸入会社に34年間勤務の後、2006年に退職。市井の人間が生きていく中で本当に意味のある言葉、心の芯に響く言葉を思考し、表現し続けているとか。1988年、第7回 毎日二十一世紀賞受賞。著書にブログ『それでも読書はやめられない』で紹介した本の他、『定年後のリアル』(草思社文庫)、『わたしを認めよ!』(洋泉社新書y)、『ひとりぼっちの辞典』(清流出版)、『会社員の父から息子へ』(ちくま新書)、『最後の吉本隆明』(筑摩書房)、『定年バカ』(SB新書)、『人生…
脱水の 脱水症状の 入り口 にいたらしい 筋肉痛というのは 電解質のバランスが崩れたせい もともと 塩分の排出をがんばり過ぎてしまう おかしな体質なのだ それで心電図に異常をきたすため 健診の機械によるオートの心電図 かならずと言っていいくらい 心筋梗塞??の疑い そんなわけないだろ…😣な 残念な 要精査となるのだった… いざ 精査ということで どっか病院受診したならば パッ あるいは チラッ と心電図見て ふっ…😒なんじゃこりゃまたかいな みたいな… それは 冷たいあしらいが待ってる ってことも 知り過ぎているのが大変かなしい… 一日 休んでた 少しずつ きちんと吸収されるように こまめにミ…
一条真也です。わたしはこれまで多くの言葉を世に送り出してきました。この際もう一度おさらいして、その意味を定義したいと思います。今回は、「唯葬論」という言葉を取り上げます。 『唯葬論』(三五館) 拙著のタイトルではありますが、「唯葬論」は単なる書名ではありません。それは、1つの思想なのです。わたしは、葬儀とは人類の存在基盤であり、発展基盤であると思っています。約7万年前に死者を埋葬したとされるネアンデルタール人たちは「他界」の観念を知っていたとされます。世界各地の埋葬が行われた遺跡からは、さまざまな事実が明らかになっています。 「人類の歴史は墓場から始まった」という言葉がありますが、確かに埋葬と…
『飢餓陣営』55号の全容が発行人から発表がありましたのでご案内しておきます。 年間三回の発行を続けてきた「その筋」では権威ある雑誌、知る人ぞ知る思想誌です。 今回も「その筋」では書き手として、いや思想家として、批評家として無償の奮闘を続け、既存の大学やジャーナリズムに拮抗してきたひとたちです。 (いつもはもう少し著名な研究者も混じりますが) 今回の特集が「吉本隆明没後10周年」とありますように、吉本の影響を受け、吉本の継承できる思想を深化しようとする書き手/読み手で成り立っているといってよいでしょう。 特集を聴いていたら、吉本論の方が書きやすかったのですが、編集者からの注文はウクライナ戦争につ…
実は学術上では「新しさと受け入れやすさのバランス」こそがクリエイティビティだと定義されています。 #どうすれば幸せになれるか科学的に考えてみた amzn.to/3rRCo2X posted at 23:38:51 合理性が高ければ、どんなこだわりも即座に捨て去ることができるのは、私の長所のひとつ #孤独を楽しむ力 amzn.to/2TyJz16 posted at 23:23:52 なぜ人は暇の中で退屈してしまうのか?そもそも退屈とは何か?こうして暇の中でいかに生きるべきか、退屈とどう向き合うべきかという問いがあらわれる。 #國分功一郎 #暇と退屈の倫理学 amzn.to/3vVweAQ po…
キューバ名物の勝手に何かの職業をやっている人だ。働くのと、勝手に働くのって違うんだろうな。 #表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬 #若林正恭 amzn.to/2JsQg1D posted at 23:53:51 同じ企画内容だとしても「こうするといいですよ」というより「こうなると損ですよ」という見せ方の方が受け入れられやすい、という傾向があります。 #企画 #高瀬敦也 amzn.to/3ha6kU3 posted at 23:38:52 資本主義社会では、ラットレースのように走り続けないといけない、止まるわけにはいかないという観念があります。 #言葉のズレと共感幻想 #佐渡島庸平 #細谷…
『ちはやふる』の太一厨を少し誤解していた。 太一厨も決して一枚岩というわけではなく、太一を「信頼できない語り手」と解釈する分派?ある? ぼくはそういう読み方はしないけど、おもしろいとは思った。 そもそも、ぼくは新厨でもないから、部外者だ。 恋愛モノとして、この作品をみていないが、もし、そう見るなら、新を想う千早に恋をする太一という理解をしている。とくに、自分以外のだれかにこころを奪われている人に恋をするところに重きをおきたい。 そう理解すると新の性癖の行方が気なるが… 一方で、太一を「信頼できない語り手」とすると…太一の性癖? まあ、これは「太一は信頼できない語り手」説を唱える人にお任せしよう…
彼の場合は、他人の言ったことを素直に咀嚼する時間が会話の中で抜け落ちていたから、その時間をきちんと作って見ると自然な会話ができるようになったようだった。 #あなたはなぜつながれないのか amzn.to/3fNdGwb posted at 23:53:52 脊髄反射的な関係者叩きは、得てして醜い非難合戦につながる。ビジネス、政治、軍事の世界では、責任のなすりつけ合いは日常茶飯事だ。だが、当の本人には、全く悪気がないことが多い。皆、本当に相手のせいだと思っている。 #失敗の科学 amzn.to/3x26PYF posted at 23:23:51 功利主義とは、幸福主義。すなわち「物事の正しさを幸…
赤木本来の姿に戻ったか。 ゴリラですね? #スラムダンク amzn.to/3oTkV90 posted at 23:53:52 何かが起こらないと目の前に現れないのが真のしくじりだから #ナナメの夕暮れ #若林正恭 amzn.to/3amhccA posted at 23:38:52 言葉がなかなか出てこないのは、声に出さないからなんだ。頭の中で浮かんで消える言葉は言葉じゃない。それこそ湿った花火だ。 #ひきたよしあき amzn.to/32ekwTM posted at 23:23:52 しょぼい喫茶店はやや素っ気なく、「そこもなんだ」と思ってたら、あとで来た常連の方には愛想を振りまいてて、一…
読んだ本: 引用元:版元ドットコム つづきを読み進めた。 nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com nainaiteiyan.hatenablog.com ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー メモ なし ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 日記 次にポピュリズムの批判に移った。 ネットとポピュリズムは親和性が非常に高いように思う。 個人としては、経験的に日本では「類は友を呼ぶ」現象が至るところ見受けられる。 本書では「集団分極化」として表現されて…
日 時: 2019年6月30日 講 師: 永井 玲衣さん 場 所: 東京ウィメンズプラザ(渋谷) テーマ: 実存主義はヒューマニズムである 参加人数: 13名 参加者のコメント ・永井さんの話、質問への対応がわかりやすく、参考になった。後半の対話も活発で、楽しい時間を過ごせた。 ・難しかったですが、難しいことに悩むことに意味があると思うので、大変有意義だった。 ・後半のディスカッションがよかった。 ・永井さんの講義は面白くてわかりやすかったが、対話は散漫だった。 ・周りの方が哲学に詳しいので、圧倒された。 ・自分の意見が変化していって、面白かった。発言はあまりできなかった。 ・サルトルのことを…
ヒロシマの日ーもうみんなああそっうだったね、戦争はしてはいけないね、語り継ごう、といいつつ、国民の語る内容がどんどん核兵器抑止論になっていく。 岸田クソ政権は、沈黙を通し、相変わらず米国の核の傘を「妄信」している。 ウクライナをみたって、「ブダペスト覚書」を米国は護りゃあしない。武器供与でお茶濁している。 ウクライナは1800発の核爆弾をロシアへ委譲し、米ロはウクライナの安全保障を約束したのではなかったのか。 いまやロシアの核使用の恫喝にたじろぎ、米国はほとんど世界の警察国家になりえなくなった。 その最大の原因が、米国の核開発の停止と最新の限定戦術核でロシアに大幅な遅れをとっているからだ。 ロ…
スノッブ・・・「紳士・教養人を気どる俗物。えせ紳士。スノブ」(『デジタル大辞泉』より) 精神現象学 作者:G.W.F. ヘーゲル 作品社 Amazon みなさん本を読んでいますか? 読書家の皆さんはきっと月に10冊、ハードカバーのごっつい本を大量に乱読しているかもしれませんが、私は違います。 私は本を買っても積んでばかり。さらには集中力がないのでを読んでは投げ、読んでは投げという生活を続けているのです。 本のチョイスにも問題があります。 SDGs的意識高い系の私はエコロジーを第一に考えているので、100年後に読まれなくなりそうな本を倫理的に買うことができないのです。 沈黙の春(新潮文庫) 作者…
※注意! 筆者は医療の専門家ではなく、また当記事は文化史エッセイに属するものであり医学的内容に責任を負うものではありません。治療に関する判断は専門機関にご相談ください。 α.はじめに 自分の病気の成立に自分自身が能動的に関与しているということを本気で考える人がいたら、それによって病気の理論が変わるだけでなく、その人の世界との関係も一変するだろう。彼の倫理的、宗教的、政治的な態度も変化するに違いない。 (ヴァイツゼッカー『病いと人』) 偶然にも本稿では採り上げていないが、オリヴァー・サックス『妻を帽子とまちがえた男』といえば、脳科学・奇病エッセイの古典的名著であるという評価に異論を差し挟む者は少…
実は攪乱されやすいヒトの五感 今回のテーマはバーチャル。仮想現実のバーチャルリアリティが花盛りであるが、そもそも人間にはそこに存在しないはずのものと存在するかのように感じることが出来る能力が存在するという。 我々は五感によって外界を感じ取っているが、実はこれが意外といい加減なところがあるようである。例えば温かいそうめんを食べてもらい、次にゴーグルをつけてそのそうめんにラーメンの映像を投影しながら食べるとラーメンのような味を感じ、焼きそばにすると焼きそば、蕎麦にすると蕎麦に感じるのだという。これはクロスモーダルと言い、ある感覚が他の感覚の影響を受けて変化する現象だという。大きな影響力を持つ視覚が…