要約 本稿は、農耕革命を起点として現代社会の格差や閉塞の原因を捉え直すものである。狩猟採集時代、人類は短時間労働と多様な食による「原初の豊かさ」を享受していたが、農耕により生産量は増大する一方、単一作物への依存や長時間労働が常態化し、生活の質は必ずしも向上しなかった。さらに「貯蔵」による余剰は、国家や階級を生み、格差と暴力の構造を拡大させた。 この延長線上にある現代社会は三つの「かけ違い」を抱える。第一に、成長が鈍化しても分配が見直されず、実質賃金が抑えられる構造。第二に、金融政策によって国の数値上の豊かさと国民生活が乖離する問題。第三に、SNSの単純な言説が現実を歪め、分断を生む状況である。…