ユヴァル・ノア・ハラリ氏「サピエンス全史」を読みました。中中に重たい内容の胸ふたがれる思いを読後に要する典籍で、壱読では理会を纏められません。其の上で、當書に依れば吾吾は兄弟姉妹たる類人猿や、多くの他種多種の生物を絶滅に至らしめた結句、食物連鎖の頂点を掌中にしたとの示唆に触れます。 上世より寧ろ、近世に於いても戰争や一方的な殺戮は挙を枚するに暇がありません。妄誕無諧を畏れずに謂えば、ホモ・サピエンス=賢い人の肇始以来の信仰や哲学、最早道徳すらも、凡てジェノサイドやホロコーストの正当化を謀る理論なのではないかと疑懼してしまいます。 デカルトは「方法序説」で、凡そ総ての概念が偽であると疑い尽くし、…