ソ連で活動しているCIAの諜報員が「共産主義を歴史に登場させない」という目的のために、歴史に干渉してエンゲルスを有罪にしようとする。 そんな筋書きに興味を持って、小川哲の「嘘と正典」を読んでみた。 嘘と正典 (ハヤカワ文庫JA) 作者:小川 哲 早川書房 Amazon 「嘘と正典」で一番面白いと思ったのは、自分が発明した装置を使って共産主義を消滅させようとするソ連の科学者ペトロフの人物像だ。 主人公のホワイトは敵国の人間であるペトロフに共感と好意を持つが、自分も同じようにペトロフに共感と好意を持った。 凄く好きだし、何となく気持ちもわかると思いながら読んでいた。 ペトロフは政治的主張や思想を持…