由岐港 【エッセイ】(幼少期、由岐小学校時代) あの頃、海と“イノチ”の記憶 海が好きなのだ! 海こそ僕の故郷だから……それは四国の右下、漁師町……合併で、今は美波町(みなみちょう)という名になった過疎の町。甘い記憶に、ほろ苦い記憶、少年期の栄光と挫折の眠る町。 七歳の頃の記憶。生家の二階から海が見える。すぐ前を通っている橋の周りがまだ舗装されていなかった頃、土手づたいに下まで降りると潮干狩りができた。バケツ抱えて、砂利遊びをする。“しじみ”はタダで採れる。ばあちゃんに渡すと翌朝、みそ汁の具になった。採ったものが食卓に乗る不思議な感覚。子どもながらに、自給自足の初体験。岩浜に行くと、野生のヒト…