化物語:妖怪奇変 杉浦野外坊 1907年(明40) 磯部甲陽堂刊。 文筆家の杉浦野外(ここでは末尾の「坊」を外した)という人物に関しては、国木田独歩と一緒に雑誌の編集を行っていた人らしい。単行本としてはこの作品しか見当たらない。達意の文章で、まだ所々に文語体風の格調の高い表現が残っているが、ほとんど現代口語文体が確立しているように思う。 作者が伝聞などで集めた怪談・奇談集だが、ほとんどが明治の世の中での話だという。折に触れて何度も記述しているが、明治維新の文明開化から40年経過した20世紀の世の中になっても、妖怪・怪奇話が絶えることなく語られていたということが興味深い。現在の視点からは、江戸も…