もうだいぶ前からだが、妻からくり返し小言を言われている。寝室に散らかっている無数の本を “片付けてくれ”というのである。今秋こそは、と思う。 私の癖だが、面白いと思った本は何度も読み返してしまうので、カバーは外れ、表紙は反り返ってくたくたになる。そのほとんどは文庫版の小説。眠る前の10~20分、眠気を催すまで寝床で読む至福の時間がたまらない。 60代になってはまっているのが藤沢周平の時代小説。昨日からは「霧の果て、神谷玄次郎捕物控」、一昨日までは「三屋清左衛門残日録」、その前は「獄医立花登手控え(全4巻)」だった。いずれも数回以上読み返している。小遣いも限られているし、私のこの読書癖はローコス…