深い緑色の扉を押し開けると、あたたかなやわらかい雰囲気が私を包んだ。思わずふっと口元が緩む。店内に目をやると背の高さくらいの本棚や年季の入った机に並べられた無数の本が飛び込んできた。キャッチ―な表紙のかわいらしいエッセイ、だれもが知っているあの小説、小難しい哲学の本、表紙が文字で埋め尽くされた雑誌など、あらゆる本がお行儀よく並んでいる。 私は旅行先で書店に行くのが好きだ。もちろん買うのも好きだし、何も買わずに出ることの方が少ない。書店という存在はいつでも見知らぬ私でもあたたかく迎えてくれるような気がする。そのおかげで私が買う本には旅の思い出も刻まれる。帰りの荷物の重量ももちろん増える。うれしい…