本日「やさしさの精神病理」(大平健、岩波新書)を読み終えた。 「“やさしい”人々が「いちおう」だの「とりあえず」だのといった言葉を先発しているのを聞いていると不思議な気がしてくるものです。自分の価値に始まって自分の判断や行為に至るまで、一様に「とりあえず」や「いちおう」で塗り固めて‣‣‣‣‣‣。何だか、彼らが彼ら自身のすべてをかりそめのものとして考えていないように思えてくるのです。そう思って尋ねてみると、彼らが「本当の自分」を見失ったように思って「自分」に確信をもてないでいることが分かります。現在の「自分」が曖昧であればこそ、未来に自分を賭けることができないのです。夢想的な人は占いや新興宗教な…