―その442― ●歌は、「真葛原靡く秋風吹くごとに阿太の大野の萩の花散る」である。 阿太峯神社万葉歌碑(作者未詳) ●歌碑は、五條市大野新田 阿太峯神社にある。 ●歌をみていこう。 ◆真葛原 名引秋風 毎吹 阿太乃大野之 芽子花散 (作者未詳 巻十 二〇九六) ≪書き下し≫真葛原(まくずはら)靡(なび)く秋風吹くごとに阿太(あだ)の大野(おほの)の萩の花散る (訳)葛が一面に生い茂る原、その原を押し靡かせる秋の風が吹くたびに、阿太の大野の萩の花がはらはらと散る。(伊藤 博 著 「万葉集 二」 角川ソフィア文庫より) (注)阿太の大野:奈良県五條市阿太付近の野。大野は原野の意。 中西 進氏は、そ…