大正時代というと、15年と短かったこともあり、華々しい明治と激動の昭和に挟まれて、あまり目立たない時代である。本書は歴史人口学の視点から、2人の研究者が大正時代を分析したものだ。歴史人口学(デモグラフィ)だから、拠って立つのは「人口動態」。特殊出生率や死亡率から、市部と郡部の差、所得階層、疫病や災害にまで話が及ぶ。 まず大正時代、日本の近代化は着実に進んでいて、 ・農業国から工業国への転換、大正期に工業規模が2倍以上に増えた ・広がる鉄道網、国鉄・私鉄で20,000kmに達した ・電力需要の増大、1戸に複数の電灯が点くようになった ・教育水準の向上、中学進学者が2倍になった のだが、第一次世界…