「あ、あの。この商品。こ、この商品ですが・・・」 「資料おいといて。時間ないから。もういいよ。」 吉田はあがり症で、営業の成績は全くと言っていいほどダメだった。 「おい吉田。もうそろそろ結果でないと。」 「言いたいことわかるよな。」 「あ。あ、はい。」 吉田にとっては、初めての営業だった。 なぜ不向きな営業をしているのか。 それは、吉田はこの商品を愛して止まないヘビーユーザーだった。 もっとみんなにも知ってもらいたい。 もっとみんなに使ってもらいたい。 その気持ちが彼を営業に志願させた。 とは言え、もう8か月。結果を出せずにいた。 その日は販促会議だった。 「先輩!データが消えてしまって。」 …