「姫、超高難度ゲームクイズに出演する!」 司会のサカサが、ジャグリングでマイクを操り、挑戦者である姫は、気合とスタジオに満ちる照明の熱で湧いた汗を、ゆっくりハンドタオルで拭いた。その姿はいにしえの闘技場で相手を待つ、戦士のそれに近かった。意識してか、無意識のなせるものか。大きくひとつ、息を吐く。 「サテ。ここまでレトロゲーム問題を上り詰めた姫。今のお気持ちを伺いましょうカ」 サカサが姫に問うた。カメラがぐっと、姫の姿をズームする。 「やれるだけやるのみです。がんばります」 気のせいだろうか。そう言った姫は自信とも怯えとも、両方に取れる表情を浮かべていた。口もとはぐっとしていて、今までの死闘がま…