かゆいところへ手が届くという以前に、かゆくならない。完璧である。あえていうなら、かゆくなりがちなところがわからないというだけである。 開発におけるむずかしい部分をわかったうえで、それを味わう。不完全なものにこそ愛着が宿り、持主との一体感によって成立する。 完璧さのなかには何かしら無残なものがある、というのは、余地がないからではないかとおもう。ひとのつかう余地がなく、はいりこむ隙がない。あまりに雄大で雄勁な自然のなかで、人間が邪魔者になるのと似たようなものではないかとおもう。 だからといって完成度が低くていいわけではないのだが、通常は、どんなにカッチリつくっても、ひとがつくるものには何かしら余白…