結局,女ほど孤独な生き物もいないのではないかと思う。命を宿した時のために,一人でも痛みや不安に耐えていけるよう,孤独を味わうために作られているのだろうか。 この物語の主人公カイアの孤独は舞台である湿地のごとく果のないぬかるみの様な孤独だ。アルコールに溺れ家族に手を上げる父親に耐えられず,まずは母親がそして兄弟たちも次々に家を出ていく。一人残されたカイアは父親と何とかうまくやっていこうとするが,貧困と差別が父親を追い込み出奔。カイアは10歳で天涯孤独となる。彼女は学校へ行くこともなく,誰かに育てられることもなく,社会から孤立し,ゼロから自分を作っていく。彼女の成長を描くのがこの物語の1つ目のスト…